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読書記録 韓国 行き過ぎた資本主義「無限競争社会」の苦悩

 

韓国 行き過ぎた資本主義 「無限競争社会」の苦悩 (講談社現代新書)

韓国 行き過ぎた資本主義 「無限競争社会」の苦悩 (講談社現代新書)

  • 作者:金 敬哲
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/11/13
  • メディア: 新書
 

いやぁ・・・凄まじい。本当に、凄まじいの一言。

資本主義の最先端を行く韓国社会の現実を、韓国人が日本語で伝える本。

韓国はぶっちぎり出生率最下位だとか、受験戦争がすごいとか、聞きかじった知識よりもはるかに酷い。

 

「どんなに努力しても、自分の階層が上がる可能性は低い」とアンケートに答える人は年々増え、2017年には83.4%にまで行ってしまった。

なんという閉塞感だろう。8割以上の国民が、努力はほとんど無駄だと感じるほどだなんて。

そんな閉塞感の中でも、有名大に入り少ない大企業や公務員の就職を果たすため、小学生から大学受験のために深夜まで猛烈に勉強。ころころ変わる教育政策に適応するには、塾やコンサルタントといった専門職の助けが不可欠で、親には私教育の負担が年々重くなっていく。

大学に入ったら、良い就職のため、授業はもちろん(就職の際は授業の成績も大切。時には履修しなおすこともある)英語や情報処理といった資格取得に明け暮れる。中小企業と大企業との待遇差がありすぎる(中小企業の課長クラスより大企業の初任給は多い)から、少ない大企業の椅子に必死に手を延ばす。

良い就職先が無ければ卒業を延ばし、安定を求めて大卒が公務員の最低ランク(日本だと高卒枠)に合格するため必死で争う。

 

努力実って大企業に入れたとしても、そこから過酷な競争が始まる。競争に勝って役員になっても、平均2年で退職する現実。

もちろん、平凡な社員はどんどんリストラ。終身雇用なんてない。40後半からリストラが始まる。

老後の社会保障も貧弱だから、死ぬまで働かないといけないなんてザラ。

 

絶望しかねぇ~~~!!!!!!!!

こんな国で子供産もうと思わないよね、うん。ほんとに。

 

どうしてここまで普通の人間に厳しすぎる国になったのか?

その理由について、筆者は「人災」だという。

1950~53年の朝鮮戦争で全土が廃墟となった韓国は、軍事クーデター政権が成立、国家主導の強力な経済成長戦略を推進した。(開発独裁ってやつかな)

西欧の300年の近代化を、30年で達成するほどの圧縮成長。(漢江(ハンガン)の奇跡ってやつね)

その本質は、効率最優先で限られた資金を財閥に集中投入するというもの。そのため、日本のような中小企業や地方企業が育たず、富が一極集中する土壌が出来上がってしまった。これが「人災」その1。

 (しかもこの人災1、投資した財閥系企業がグローバル企業化して、韓国から生産拠点移転したりしてるから、結局韓国国内の雇用すら財閥が残してくれなかったという最悪の結末)

そして、97年のIMF危機で行われた、金大中(キム・デジュン)政権の新自由主義的政策。経済危機の原因は、これまでやってきた政経癒着と不正腐敗だから、政府が市場のルールを決めて監視する(規制強化)という名目だったはずなのに、やってることは真逆という。どういうことだよぉ!さすがIMFソウル支局長だな!!

資本市場の開放、規制緩和、公企業の民営化、労働市場の柔軟化&リストラ強行によって、中産階級は崩壊。社会の二極化と社会階層の定着が進む。はいこれ人災2。なんでも徹底してやりすぎなんだよなぁ・・。

 

個人的に思ったのが、韓国人の感情的な気質、官僚組織の弱さ、大統領の権限の強さは、負のスパイラルを作るコンボとして完璧すぎる。

教育政策も、大統領が私教育抑制のために深夜授業禁止にする→なら運動塾ならセーフじゃん、窓にシート貼ってバレなきゃセーフ、家でネット授業するならセーフ、といった感じで全部いたちごっこ

もっと深い問題だろうが・・・てことに安直な手を打つだけでなんの解決にもなってない。うーんこの。もしかしてわざとやってる?

 

韓国人、自虐語というか造語作るの好きだね。

「ヘル朝鮮(チョソン)」→ヘルは地獄、あえて韓国ではなく朝鮮なのは、朝鮮時代(14-20世紀)のような前近代的な国であるという皮肉

「スプーン階級論」→スプーンは生まれた家の経済力のこと。金のスプーン、つまり富裕層なら安泰、そうじゃなければオワオワリーってこと

「N放(ポ)世代」→2011年には、恋愛・結婚・出産という人生で大事な3つを貧しさゆえ放棄せざるを得ないという意味で三放世代という言葉ができた。それに加えて、現在は諦めるものが多すぎて不定数(N)になった、という意味。

 「サラデント」→salaryman+student 会社に勤めるかたわら、学生のように勉強する人々。いつリストラされるかわからないので、社内競争のため、辞めたあとのために必死で自己研鑽する。韓国サラリーマンの4/10が英語塾などの自己啓発を行い、週に5時間近く勉強しているという…。

「起承転チキン」→どんな学歴であっても、結局はチキン屋が人生の終着点

「雁パパ(キロギアッパ)」→子どもを早期留学のため外国に送り(母親も帯同)、一人で国内に残って生活&送金する夫を喩えた言葉。つらすぎる・・・。

 

日本も新自由主義グローバリズム大好き国家として完全に後追いしてるので、こういう失敗例を見てちゃんと学んでほしいです(切実)