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【読書記録】「「鬼畜」の家」

石井光太著 「「鬼畜」の家 わが子を殺す親たち」を読んだ

一言で言うと、キツイ

本書では3つの「親が子供を虐待死させた事件」について、それぞれの経緯、加害者の生い立ちや周囲の人間から見た普段の様子等が描かれ、事件の詳しいいきさつだけでなく、なぜその犯行に至ったのかが丁寧に取材されている。

加害者に共通するのが(N=3で少なすぎるとは思うが統計的傾向でも同じなのではと感覚的には思う。実際にどうかは知らん。データあるのかな?)みな家庭環境が荒れており、親にまともな世話をされず、人間として人格を尊重されることが無かったせいで、幼稚で、衝動的で、深くものを考えられず、根気もない、どうしようもない人間だということ。

なお「荒れている」だとか、「まともな世話をされず」とか書いているのは「一般的な視点から見た常識」に照らし合わせてそう書いているのであるが、この常識というものが実に厄介

加害者たちが育った家にもその家なりの「常識」「こどもの育てかた」があり、それが(裁判や週刊誌で世間から糾弾される程度には)ズレているということが一番キツイ

前書きにもあったが、加害者たちは加害者たちなりに子どもを「愛している」し「育てている」つもりなのである

だから自分の罪にも、犯したことの重大さも理解できない

なんとも救いのない話で読んで憂鬱になること間違いなし

唯一の救いは、特別養子縁組を斡旋している団体が子どもを救うだけでなく、このような虐待予備軍(申し訳ないが、こう呼ぶしかないのでは・・・)の母親を支援するところまで行っているということが最後に紹介されること

ただ、これも必要なことだとは思いつつ、結局男はなーんも責任取らないままなのね…という気持ちにもさせられる

「鬼畜」の家: わが子を殺す親たち (新潮文庫)

「鬼畜」の家: わが子を殺す親たち (新潮文庫)